クレーム解決講座

【飲食店クレーム電話対応】お客様へのお詫び電話を攻略!対応の仕方や注意点を徹底解説!

飲食店店長の仕事の中でクレーム処理は精神的にキツく、時間もとられる大変な業務です。

中でも「お客様に直接お詫びの電話をする」という対応は、会話の中で判断をしたり、言葉を慎重に選ぶ必要があるため、独特のストレスや難しさがあります。

はじめ店長

電話するのって緊張します…

そのため、後回しにして対応が遅れたり、きちんと対応できずに2次クレームになってしまう事態が見受けられます。

この記事では、お詫び電話の基本の流れと、色んなケースを想定した上で、できるだけ丁寧な返事の仕方や言葉遣いを紹介します。

この記事を書いた あにき店長 です

■飲食店で店長を10年以上経験している現役飲食店長です。

■(こんな僕ですが)飲食業界で働く人の悩みや不安を解消したい!

■飲食サービス業が大好き!魅力ややりがいを伝えたい!

■お客様、上司や部下、アルバイトさんと接した日々は宝物

是非、電話をかける前に記事全体を読んで頂き、自信を持ってお詫びの電話を掛けて下さい!

この記事は、お客様相談室へのクレームの返事など、「こちらからかけるケースのお詫び電話」の解説です。

突然に「相手からかかってきたクレーム電話」という場合は、一次対応者となるアルバイトさんへの教育が不可欠です。突然お店にかかってきたクレーム電話対応の記事を見る。

電話の前に、頭の中を整理する

何に怒っているかを把握する

クレームにはスピード感を持って対応するのが肝心ですが、慌ててはいけません。クレームの内容を良く確認し、何に怒っているのかを把握します。

原因は一つじゃないこともあります。わざわざクレームを寄せている時は、いくつもの小さなイライラが重なっている場合も多いので、それらを把握します。

お客様相談室へのご意見なら、そのメールをよく読みましょう。

従業員から事後にクレーム報告を受け、相手に電話をするのなら、その従業員から「お客様が何に怒っていたのか」をよく聞き出す必要があります。

はじめ店長

まずは冷静に現状を把握しなきゃ

お店の何が悪かったかを考える

次に、当時の従業員の接客や、調理の具合はどうであったのかなど、お店の落ち度について冷静に考えます。

「なぜそうなったのか」をお客様に説明する必要があるからです。従業員の教育不足なのか、本社のシステムそのものの問題なのか、などです。

お客様の誤解でクレームとなっている場合でも、きちんとした説明と、勘違いをさせてしまった事に対するお詫びが必要です。

あにき店長

誤解や勘違いの場合でも丁寧に対応しよう

スタッフに状況を確認すると「だってお客様が〇〇してくれなかったから」や「クソ忙しい時に無理だよ」など、しょうがない・私は悪くないという人もいます。

スタッフに同情する気持ちは一旦よこに置いておいて、状況を冷静に確認し、お客様に対してはお詫びの姿勢に徹しましょう

どうお詫びをするか考える

何らかの対応が必要なケースは、どうお詫びするかをまとめます。真摯なお詫びと、再発防止を誓って済む話であれば、対応は完結します。

「返金して欲しい」「クリーニングして欲しい」など明らかな、あるいは暗にそのような要望があるかどうか、確認します。

単純に返金すればよいのか、+αで割引券や菓子折りを用意するべきなのかなど、対応はケース毎に違ってきます。上司に相談するのも解決策の一つです。

あにき店長

返金や弁償の基準はケースバイケースですね

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上司とお詫びの方法を相談しておく

店長のお詫びだけで対応しきれない案件となっている場合は必ず上司に報告と相談をしましょう。

アレルギーやケガなど被害が甚大なクレームや、人権・差別に関すること、食中毒の恐れなどへの対応は、絶対に自分一人で判断してはいけません。

また、要求が適正な範囲を超えている悪質クレーマーにも、自分一人で対応するのは危険です。毅然とした態度をとるためにも、事前に会社や上司に確認しましょう。

じょーし

隠さずに、速やかに報告することが大切じゃ

いざ、電話を掛けよう!

①静かな空間を確保

クレーム対応の最中は、その電話のみに集中します。できるだけ独立した、静かな空間を確保しましょう

また、同じ時間に勤務しているメンバーには「今からクレーム対応の電話をするので、外れます」と周知して、他の用事で声を掛けられないようにします。

はじめ店長

落ち着いて電話をするために大切ですね!

②第一声は自己紹介から

電話を掛けたら、まずは自分が何者かを伝えます。

プルルル‥はい、田中です。

突然のお電話失礼致します。私、レストラン□□の△△店の店長をしております、山田と申します。」

夜分に(お昼時に)お電話失礼致します。私、居酒屋〇〇の店長をしております、山田と申します。」

③電話をした理由を伝える

なぜ電話をしたかを伝えます。

「お客様相談室にお寄せいただいたご意見に関しまして、お電話を致しました。田中一郎様はご在宅でしょうか。」

「先日ご来店頂いた際、田中様のお召し物を汚してしまい、ご迷惑をお掛けした事で、お詫びのお電話をさせて頂きました。田中一郎様はいらっしゃいますでしょうか。」

あにき店長

暗くなり過ぎないトーンで話そう。丁寧な言葉選びも大切。

④時間があるかどうかを聞く

相手が変わり、しばらくして本人が出た場合は、改めて自己紹介と電話をした理由を伝えます。電話口が本人であればそのまま続けます。

相手にとっては忙しい時間かもしれません。必ず「お時間よろしいでしょうか」と聞きましょう。相手が忙しいようであれば、後ほどの連絡を約束します。

「只今、少々お時間よろしいでしょうか。」

「承知致しました。ではまた後程、ご連絡させて頂きます。ご都合の良い時間はございますでしょうか。」

⑤「この度は~」で謝罪をする

このまま電話を続けて良いようであれば、謝罪に入ります。

この度は、担当した接客スタッフの接客態度や、オーダーのミス・お会計間違いなど、田中様には、当店の不手際で多大なご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございませんでした。」

「この度は、ご注文頂いた料理を30分以上お待たせしたうえ、ご注文とは違う料理を提供してしまいました。折角ご予約を頂いたのに、当店の不手際によりご不快な思いをお掛けし、誠に申し訳ございませんでした。」

POINT 相手とのやりとりはハキハキと丁寧に

中盤では、お客様の返答に沿って返事をしてゆきますが、あまり暗くなり過ぎずに、ハキハキと丁寧な雰囲気を守りましょう。

また、聞かれた事には真摯に答えましょう。早く済ませたいからと、自分勝手に話を先に進めないように注意しましょう。

驚いたよ、あの接客(料理)はありえないよ!?

おっしゃるとおりでございます。ひとえに私の従業員教育が至っておりませんでした。誠に申し訳ございません。」

「おっしゃるとおりでございます。30分以上お待たせしたあげく、違う料理を冷たいままお出しするなど、本来はあってはならない事です。本当に、申し開きの言葉もございません。」

あのスタッフ、新人さん?

「はい、約1か月ほど勤務しております。ただ、新人とはいえ、あのような言葉使いや態度は許されるものではありませんので、本人には厳重に注意を致します。」

はじめ店長

思い出しながら喋るから、怒りが再燃しちゃうんですよね…

あにき店長

一度全部吐き出してもらうぐらい喋ってもらうと、後はクールダウンしてゆくから、ここはひたすら耳を傾ける時間だ!

POINT 原因の説明は、聞かれたら

クレームの原因は、聞かれて初めて、説明をします。

クレームの内容によっては「いや、これには理由がありまして…」とすぐに説明をしたくなりますが、それを強調しすぎると「言い訳」にとられてしまいます。

なんでこんなことになったの?

✖「はい、単純に人手不足です。申し訳ございません。」

〇「はい、誠にお恥ずかしい話ですが、人手が少ない中で予想外のご来店が重なったため、大幅に料理が遅れてしまいました。ですが、スタッフが足りないというのも、こちらの都合でございます。そのような時こそお客様への気配りや言葉がけを大切にするべきでした。いずれにせよ、私の未熟な店舗運営によって〇〇様にはご不快な思いをお掛けしておりますので、お詫びのしようもございません」

〇「はい、誠にお恥ずかしい話ですが、調理場で、お客様のご注文の伝票を紛失してしまったため、あれほどお待たせしてしまう事になりました。ただ、それであっても、後から注文をしたお客様の料理が出たタイミングなどで、接客スタッフは気付けたはずですし、調理場においても日頃できている注意が散漫になっておりましたので、いずれにせよ、申し開きの言葉もございません。」

はじめ店長

めちゃ丁寧!言い訳に感じないです!

⑥再発防止策を伝える

最後に、再発防止策を伝え、改めて謝罪をして終わります。謝罪だけで終わらせるケースはそのまま電話を切ります(⑧へ)。

「今後はこのようなことがないように接客教育を再度徹底してまいります。」

「今後は、二度とこのような事が起きないよう、店全体で改善してまいります。」

⑦「つきましては」で店の対応を伝える

「返金する」「クリーニングをする」「割引券などを送る」などの対応をするケースはその旨を伝えます。

「つきましては、この度のお食事代はご返金させて頂きます。」

「つきましては、汚してしまった〇〇様のお召し物は、是非クリーニング対応をさせて頂きたいと思います。今、お手元にございますでしょうか。では~」

相手が「返金までは結構です」などと恐縮した場合は

「とんでもないです。完全にこちらの不手際でございましたので、ご返金させて下さい。直属の上司も、しっかりとご返金するようにと申しておりますので。」

⑧次回の連絡の必要があれば約束し、電話を切る

「では、現金書留を郵送いたしましたら、〇〇様に再度、ご連絡させて頂きます。」

「では、クリーニングが完了しましたら、大変お手数ですが、お電話を頂戴してもよろしいでしょうか。」

「改めて上司と相談しまして、再度〇〇様にご連絡を差し上げます。お電話にご都合の良い時間はございますでしょうか。」

「この度は、誠に申し訳ございませんでした。また、お昼時にお時間を頂戴し、失礼致しました。では、失礼致します。」

「この度は申し訳ございませんでした。また夜分にお時間を頂きまして、ありがとうございました。では、失礼致します。」

はじめ店長

やっと電話が終わりました~!

店長、お疲れ様!

丁寧な言葉よりも、お詫びに対する強い思いが大切

普段のお店の雰囲気や店長の‟キャラ”よっては、謝罪の電話と言えども、丁寧過ぎる言葉使いをすると、相手は違和感を感じる場合があります。

また、言葉使いは丁寧でも、コールセンターのような棒読みのお詫び電話だと「他人行儀だ」「杓子定規な謝罪だ」と感じられてしまいます。

お詫びに対する思いの強さがあれば、丁寧な言葉を使わなくても誠意が伝わります。方言が混じっても、ちょっとぐらい間違っても構いません。

あにき店長

真摯に返答していれば、怒りがおさまってくるものです。

こちらが悪くない場合

お客様の怒りに寄り添う…と言っても、それが筋違いだったり、どうにもならないシステムの問題である場合などは毅然とした対応丁寧な説明が必要です。

「ご不便な思いをお掛けしておりますが、他のお客様にもご理解頂いておりますので、〇〇様だけにというような対応はできかねます。どうかご理解下さいますよう、お願い申し上げます。」

「このように、〇〇円はサービス料として頂戴している分でございます。ただ、レシートの表示の仕方が分かりづらく、他のお客様からもご指摘を頂いている部分なんです。今回の件は、本部にもきちんと報告し、改善を促して参ります。」

はじめ店長

こちらの事情を理解して頂く必要がある時もあるんだ

相手が手ごわい場合

こちらの話に耳を傾けてくれるお客様は、謝罪を進めやすいのですが、中には「さぁ、どうやってこらしめてやろうか」といった姿勢の手ごわい相手がいます。

「本気で謝ってんの?」「2度と来るなってこと?」「社長から電話させてよ」という態度のお客様には、どう謝罪を続けて良いか非常に困ります。

はじめ店長

悪いのは店側だけど…マジで勘弁して欲しい…

そういった場合は「あっ‥手ごわいパターンだな」とすぐに頭を切り替え、気合を入れる必要があります。時には毅然とした態度で臨まなければいけません。

適正範囲を超えた金銭の要求をしたり、ただストレスをぶつけたいだけの暴言モンスタークレーマーには、屈する必要はありません

あにき店長

手ごわいのお客様への電話対応はこちらで解説しています

まとめ

この記事では、クレーム対応業務の1つである「クレーム電話対応」の全体の流れを解説しました。

はじめ店長

話す順番や言葉使いが分かっていれば、怖くない!

お客様の怒りに共感し、何を求めているかを把握する力が大切です。謝罪の流れの中で店側の真摯な態度を感じてもらえるかどうかは、店長次第です。

言葉のニュアンスや、電話のやり取りに関しては、経験を積んで慣れるしかない部分も大きいですが、この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。