営業中、突然かかってくるお客様からのクレームの電話の対応は非常にやっかいです。
店長が全ての電話に出られれば良いのですが、そうもいきません。アルバイトさんや調理場さんがクレーム電話を受けたり、店長が不在の時も…
店長すみません…クレームの電話っぽいです!
・その瞬間、人手が1人分とられてしまう(たいがい長時間)
・相手の話をじっと聞く能力(相手が何に怒っていて、どうして欲しいかを理解する能力)が求められる
・その場で何らかの解決策を相手に示す必要がある
・クレーム対応に慣れていない人が電話に出たら…(対応がマズいと2次クレームになる)
態度や言葉使いがマズければ、その態度が新たなクレームになり、引き継いで対応する店長の負担がさらに大きくなってしまいます。
逆に、きちんと心得ているスタッフが一次対応をすれば、店長への事後報告だけで済んだり、仮に引き継いでも、お詫びが非常にスムーズに進んだりします。
皆に伝えておかないとなぁ…
この記事では、お客様から突然クレームの電話がかかってきた場合のアルバイトさんがやるべき対応の流れと、やってはいけない注意点を紹介します。
「クレーム電話がかかってきたら、こうすればいいんだ」という知識があるだけで、従業員のストレスは大きく軽減されます。
クレームは0にはならないから対応の仕方を学ぶんだね!
■飲食店で店長を10年以上経験している現役飲食店長です。
■(こんな僕ですが)飲食業界で働く人の悩みや不安を解消したい!
■飲食サービス業が大好き!魅力ややりがいを伝えたい!
■お客様、上司や部下、アルバイトさんと接した日々は宝物
この記事は、「突然、お店に直接かかってくるお客様からのクレーム電話の対応方法」を解説しています。
お客様相談室に寄せられたクレームへの返事や後日改めてこちらから電話を差し上げるなど、「こちらからお詫びの電話をかけるケース」の解説を見る。
電話に出る人全員が意識するべき事
学生アルバイトや、調理場のメンバーが急いで電話に出たりなど、普段から接客に慣れていないメンバーは特に知っておく必要があります。
相手の第一声で察知し、クレーム対応モードに
お店の電話には、予約や出前の注文、他店舗や本社からの連絡もあります。通常は、アルバイトさんがいつも通りに電話に出ることが多いでしょう。
クレームの場合は、相手の第一声から明らかに通常の電話のトーンではありません。怒っていたり、呆れていたり、不気味に丁寧だったり…
アルバイトさんには、その変化に気付いた時点で「クレーム対応モード」に切り替えてもらわなければなりません。
クレームの電話は明らかに雰囲気が違うわよね!
・通常よりもワントーン声を低くし、話す速度もやや遅くして「深刻さ」「重大さ」を意識した話し方に切り替える。
・移動が可能なら静かな場所へ移動する。
・とりあえず電話応対に全集中する。他の仕事を片手間にせず、全てを中断する。
・メモを取る(責任者に引き継ぐため)
・クレーム電話対応をしている事を、身振り手振りやメモで誰かに伝える。
焦って責任者に変わってしまうと悪印象
クレーム対応モードの態度に切り替えたら、相手の話をとりあえず聞きます。
相手の話を遮って「あ、ではとりあえず、店長に変わりますね!(保留…)」のように、中断させては印象が悪くなり、2次クレームになる恐れがあります。
焦らずに、まずはお話をうかがいましょう。
OK!まずは私が話を聞くのね
丁寧に復唱し、率直に謝罪をする
まずは耳を傾けクレームの内容を把握します。メモをとりながら復唱し、「〇〇でございますね、大変失礼致しました。」と率直に謝罪をします。
「はい、お電話ありがとうございます。レストラン〇〇の山田でございます。」
①さっきそちらで食事したんだけど、これお会計間違ってない?
「はい、先ほどお食事をされたお客様ですね。お会計が金額が違うのではないかということですね、大変申し訳ございませんでした。」
②出前してもらったものが頼んだものと違うじゃん!
「はい、先ほどお届けしたものがご注文されたものでは無かったということですね。誠に申し訳ございませんでした」
慣れていない人は代わり、要点を伝える
新人さんや学生さん、調理場メンバーなど、接客や電話対応に慣れていないメンバーはこのタイミングで店長や責任者にかわります。
俺はここで店長に代われば良いんだな!
「ただいま担当者に(店長に・責任者に)変わりますので、少々お待ちくださいませ。失礼致します。(保留…)」
電話が切れているか保留中かを伝え、代わる相手に手短に要点を伝えます。相手がかなり怒っているようであれば、それも伝えます。
店長は絶対に一次対応者を責めない
この段階で一次対応者から引き継ぐときに、店長は必ず「了解、出てくれてありがとう」と伝え、速やかに電話に出るなり、対応を進めましょう。
クレームの電話は誰も受けたくありません。突然かかってきたクレーム電話に不慣れながらも対応してくれた一次対応者を責めてはいけません。
〇「OK、代わるね。対応ありがとう。」
✖「それで?相手は代わりの物が欲しいって言ってるの?お金を返せばいいの?何でそれ聞いてないんだよ!」←イライラすな。店長がお詫びして聞き出せばよい。
何か指導があれば、後でアドバイスをすればいい
引き続き対応する人が意識するべき事
クレームや問い合わせの内容が、自分で対応できる範囲であれば、電話に出たスタッフがそのまま対応します。
相手が「いちいち店長に代わらなくても対応してよ…時間かかるなぁ」となる場合があるため、継続して同じスタッフが対応する方がベターです。
お待たせしないことが大事だね
スムーズに対応を進める3つのポイント
店長に代わらずに、このまま対応を続ける場合は以下の点に注意すると、こじれることなくスムーズに進めることができます。
・相手の怒りや不満な気持ちに寄り添い、真摯に謝罪する
・相手が何をして欲しいのかを探る。(直接言われなければ「〇〇させて頂きます」などとこちらから提案する)
・判断に迷ったら、自分で結論を出さない。折り返しにして上長に確認する
【相手の気持ちに寄り添う】
クレームの相手を最初から「言いがかりじゃないのか」と疑う気持ちがあると、口調や態度で相手に伝わってしまいます。
クレームの内容を細かく聞いている時間は、真摯な謝罪の気持ちを持ち続けましょう。
そうでございましたか。誠に申し訳ございません。はい‥、はい‥、仰る通りです。大変お手数をお掛けしました。はい‥。
【相手が何をして欲しいかを探る】
相手が直接「〇〇してよ!」と、要求を伝えてくれる場合はそれに沿えるように対応を進めます。
一方、「(宅配した弁当)全部こぼれちゃってて、どうしたらいいの?」と対応をこちらに委ねてくる相手には、こちらからベストと思われる提案をする必要があります。
(宅配ミス)「こちらのミスでございます、大変失礼致しました。すぐに新しい物をお届け致します。今しばらくお待ちいただいてもよろしいでしょうか。」
いや、もう時間ないから返金にしてもらえる?
「はい、承知致しました。誠に申し訳ございませんでした。では後ほどご返金にお伺い致します。」
何らかの理由で保留をする場合の目安は30秒です。30秒以上保留にすると相手はストレスを感じ始めます。
折り返しの連絡を約束し、一度電話を切ります。
「(会計ミス返金)大変失礼致しました。こちらでも状況を確認し、すぐに折り返しご連絡致します。レシートの下の番号を教えて頂けますか~」
【判断に迷ったら、店長に相談】
対応を進めてみたものの、お客様の要望に対して自分では決断できない場合があります。
悩み迷ってお待たせしたり、曖昧な返事をしてしまえば2次クレームに繋がります。必ず折り返しの連絡にします。
「全額返金という事ですね…かしこまりました。一度上の者に確認してすぐに折り返しご連絡いたします。お電話番号を~」
店長にクレーム内容と対応を報告する
電話を切ったらすぐに店長や責任者に報告します。報告は3つの順序で伝えるように意識すると明確にスムーズに伝わります。
ステップ①「クレーム内容」を伝える。(誰からのどんなクレームか)
ステップ②「相手の要望」あるいは「こちらが『〇〇させて頂きます』と伝えた内容」を伝える
ステップ③ 責任者が折り返し連絡する必要があるかを伝える
ステップ③が曖昧なままだと、2次クレームに発展します。
「折り返し店長からも謝罪をすると伝えてます」「〇〇はどうなってるのかと聞かれ、すぐに調べてかけ直しますと伝えてます」などと店長に伝えましょう。
店長、今クレームの電話を受けました。電話は切ってます。
ステップ① さっきランチに来たお客様で、生ビールは頼んでないのに、お会計に入っていたとのことです。
ステップ② お客様はその分を返金して欲しいと仰ってました。
ステップ③ 明日のお昼もここに食べに来るそうで、その時に確認と返金をしてくれれば良いとのことでした。一応レシートも持ってきてくれるそうです。
と、クレームの内容と対応を報告し、対応は一旦終了です。
お疲れさまでした!ここまで対応してくれれば大丈夫です!
疲れたけど、やればできるもんね!
ケースによってはすぐに責任者に代わろう
責任者に代わった方が良いケース
お怒りが激しい場合やスタッフの接客態度に対するクレームなどは、責任者(=店長など)に速やかに代わって対応してもらう事案です。
・激高し、口調も荒く、高圧的な態度である場合
・体調不良や食中毒などを訴えている場合
・スタッフの接客態度や店舗の運営に関する苦言など、店長の裁量・教育範囲である場合
・相手が最初から「店長を出して」と言っている場合
はぁ…「店長出せ」が一番いやだわ
店長は、従業員を守るためにもすぐに代わってあげよう!
「はい…、はい…、かしこまりました。ただいま上の者と代わりますので、少々お待ちくださいませ。」
責任者に代わってもらう時に伝える事
無理に対応しようとせず、速やかに店長に代わります。その際、何か少しでも情報を得ていれば必ず伝えましょう。
怒っている理由が接客か、料理か、他の理由か…何も言ってもらえなかったのなら、何を聞いても答えてくれない事を伝えます。
・クレーム内容を簡潔に伝える。
・相手の要望があれば伝える。自分が提案し、受け入れられなかった対応があれば伝える。
・相手の話す口調やテンションを伝える。
「はい、少々お待ちくださいませ(保留)」
「店長、クレームで保留中です。さっき食べた料理で気分が悪くなったそうです。何を食べたか聞いても、店長を出して欲しいとしか言わなくて、それ以上は聞けてません。口調は丁寧ですけど、めっちゃ怒ってる感じです。」
かしこまりました。すぐに代わりますね!
責任者が不在の場合の伝え方・注意点
責任者が不在時は、さらに別の社員など、その日の責任者につぐポジションの人に電話を代わってもらいます。
たまたま外出しているなどで代わってもらえない場合は、後ほど責任者から電話をさせることを約束し、電話を切ります。
「誠に申し訳ございません。ただいま、店長の山田は席を外しております。申し訳ございません。折り返し山田からご連絡させて頂きますので、お名前とお電話番号を~」
店長がいなくてもこう言えばいいのね
ちなみに、店長に代わる責任者の人は、以下のようなフレーズで電話に出るとスムーズです。
「誠に申し訳ございません。店長の山田は本日休みを取っております。本日の責任者は私、副店長の佐藤でございます。店長の山田に代わり私がお伺いさせて頂きます。」
まとめ
今回は、突然かかってくるクレームの電話に対して、アルバイトさんなどの「一次対応者」がとるべき対応を紹介しました。
一次対応をスムーズに行うことで、その後に対応するメンバーの負担を減らすことができます。お客様にもお待たせせずに適切な対応をすることができます。
対応できるメンバーを増やす教育も大切だね
まずは初心者の人には基本的な流れや言葉使いを、続いて中堅のメンバーには簡単なクレーム処理なら完結させられるような判断力を身に付けてもらいましょう。
店長は対応してくれた方への感謝の気持ちを忘れずに!