
飲食店で働いていると、時々発生するのが「異物混入」のクレームです。異物混入はほぼ100%、店が悪いので、丁寧な謝罪と誠意ある対応が求められます。
店長、お客様から「料理に髪の毛が入ってたんだけど」と言われました
なんて言われたら、店長としてすぐに正しい対応ができるでしょうか。髪の毛ではなく、ガラスの欠片や、ゴキ〇リだったら?
「新しく料理をお持ちしようとしたら、いらないと言われた」「お代金は頂いていいのだろうか」と対応に悩んでしまうことはありませんか?
あたふたしちゃって情けない…。どっと疲れた…。
クレーム対応は、店長の業務の中で、一番ストレスのかかる仕事です。時間がかかり、精神的にも体力的にも疲労感がハンパありません。
しかし、クレーム対応は、正しい知識や判断基準を習得することで、適切に‟処理”をすることができます。ストレスも大幅に軽減させることに繋がります。
■飲食店で店長を10年以上経験している現役飲食店長です。
■飲食業界で働く人の悩みや不安を解消したい!
■飲食サービス業が大好き!魅力ややりがいを伝えたい!
■お客様、上司や部下、アルバイトさんと接した日々は宝物
この記事を最後まで読んで頂ければ、
✔ 混入してしまった異物の種類ごとに対応すべき手順が分かります。
✔ いちいち悩まず、スピード感のある対応・判断ができるようになります。
✔ クレーム処理のスキルアップで、頼れる・デキる店長になれます!
✔ アルバイトさんも対応できるようになるので、店全体がレベルアップ!
「異物混入どんと来い店長」になれます!混入しないのが一番ですが…
異物混入あるある3パターン

【基本対応】髪の毛・ビニール手袋の切れ端などの混入
異物混入で一番多く、クレーム対応の基本となります。混入しないことが一番ですが、店長として、知識と経験でクレーム対応に慣れる事も重要です。
【危険物対応】金たわしの破片・ガラス片の混入
お客様の怪我や体調不良に直接かかわる事例です。対応が遅かったり、不十分であった場合は、後日大きな問題となる可能性があります。
【害虫対応】ゴキ〇リなど害虫、その糞や卵などの混入
害虫の混入は、お客様にとって一番気持ち悪く、不快な思いをさせてしまいます。より真摯で誠意ある態度で臨まなければなりません。
基本対応マニュアル

飲食店の異物混入のなかでも事例の多い体毛の混入を例に解説します。
原則、お客様がわざと髪の毛を混入させた可能性は低いと考えます。現物を確認し、謝罪します。新しい料理と交換し、代金はいただきません。
・現物を確認し、謝罪をする。
・料理の作り直しの提案
・お代を頂くかどうかの判断をする。
・お会計・退店時に改めて責任者が頭を下げてお詫びをする。
現物を確認し、謝罪
お客様から異物混入(髪の毛)のクレームがあった時は、まずは部分謝罪し、現物を確認します。
申し訳ございません。どの料理に入っておりましたでしょうか。
髪の毛を確認し、改めて謝罪する。
大変申し訳ございませんでした。
料理の作り直しの提案
基本的には、混入した料理は下げ、新しい料理をお持ちする事を提案します。
すぐに新しい物をお持ち致します。
しかし、すでに大半を食べてしまっている方は、「また同じものを持ってこられても…」という反応をされます。
その時は、居酒屋であればワンドリンク、レストランであれば食後のコーヒーなどをサービスする場合が多いようです。
■新しい料理やサービスを断られたら
ランチタイムで時間が無い、もう食事をする気になれない、などの理由で、新しい料理もサービスも断わられる場合があります。
その時は、「承知いたしました。本日のお会計は頂けません。誠に申し訳ございませんでした」と丁重に謝罪し、玄関外まで見送ります。
代金を頂戴するかどうかの判断
■代金は頂かないのが原則
異物混入をしてしまった料理の代金は頂きません。お客様が恐縮して支払おうとしても、頂かないという対応がベストです。
頂けない理由は、ただ「髪の毛が入っていたから」だけでなく、「その結果、ものすごく気持ち悪い思いでお食事をさせてしまった」からです。
せっかくのお食事の時間を台無しにしてしまいます。
■新しい料理をきちんと提供した場合は?
新しい料理を出したとしても、代金を頂かない店と、代金は頂いたうえで割引券等をお渡しするという店があります。会社や上司に一度確認してみましょう。
ただし、害虫や金属片など、著しく気分を害するもの、お客様の体調に関わるものの場合は、新しい料理を完食されたとしても、代金は頂戴しないのが鉄則。
そうなると「髪の毛だって十分気持ち悪いじゃないか!」「基準は何だ!?」という議論になるので、やはり明確な線引きは難しいのが現実です。
新しい料理を出したとしても、代金を頂かないのがベターかもしれません。
お会計・退店時に改めて責任者が頭を下げてお詫びをする。
お会計やお客様が退店される際には必ず責任者が対応しましょう。「お会計は頂かなくてもいいから、あとはよろしく~」とアルバイトさんに投げてはいけません。
全額頂かない、あるいは〇〇代だけマイナスするなど、店長からお客様に丁寧な説明と謝罪の態度が求められるからです。
2次クレームを防ぐためにも、必ず責任者が対応しましょう。
またお客様の中には「新しいのを食べたのだから、その分はきちんとお支払いします!」と、断固として払おうとする人もいます。
その場合は、2.3回の押し問答の末、「では、お会計を頂戴させていただきます。本日は誠に申し訳ございませんでした」とするのが良いでしょう。
間違っても、店側が「そこまで怒ってないし、お会計を頂いて良いだろう」などと勝手に決めつけてはいけません。
危険物(ガラス片など)混入対応マニュアル

基本対応マニュアルだけでは不十分
ガラス片や金たわしのかけらなどが混入し、お客様が口に入れて怪我をしたり、飲み込むことで体調不良などを訴えるケースがあります。
危険度の高い異物混入が発生した場合、髪の毛混入のときのような基本的な対応だけでは不十分となります。
対応を間違えると後日大きな問題となる場合があるので、注意しましょう。
【怪我がないかの確認】
現物を確認し、謝罪と共に「飲み込んではいないか」「口の中を切っていないか」など、怪我や体調が悪くなっていないかを伺います。
怪我がなく、飲み込んでいない場合は、改めて謝罪し、新しい料理を作り直しを提案します。その後は基本対応マニュアルに沿って進めます。
怪我がなく、新しい料理をお出ししたとしても、その分の代金は頂けません。一瞬でもお客様にけがをさせる危険にさらしてしまったのですから、当然です。
お怪我がなくてホッとしました…
【怪我をしたり、飲み込んだりした場合】
・口を切ったり、飲み込んでしまった恐れがある場合は、深く謝罪し、程度に関係なく、まずはすぐに病院に行って頂くことを提案します。
私が病院までご一緒致します。いかがでしょうか。
お客様の判断で、病院に行かなくても大丈夫となった場合や、場所や時間帯で病院に行けない時はお客様の要望に沿って行動します。
「もし、体調に不安がございましたら、すぐに病院を受診して頂き、こちらにご連絡下さい。」と、名刺を渡します。
すぐに病院に向かう場合は付き添います。上司や会社に状況を報告し、交通費・初回診察料はお支払いします。
最後に必ず、お客様の連絡先とご住所を伺います。
【後日フォローが重要】
■電話をし、体調を伺う
怪我や飲み込んだ恐れがある状況になったお客様には、翌日、「その後、怪我・お体の具合はいかがでしょうか」といったフォローの電話を入れます。
■直接謝罪をさせて頂きたい旨を伝える
「是非、直接お会いして、お詫びをさせて頂きたいと思っております。差支えなければ、ご住所をお伺いしてもよろしいでしょうか。」と申し出ます。
会って謝罪をさせて頂ける場合は、相手の都合の良い日にちや時間を伺い、上司や会社に連絡します。謝罪の内容や持参するお詫びの品など、指示を仰ぎましょう。
「来なくてよい、もう大丈夫です」と仰って頂いた場合は、再発防止を約束し、改めて丁重に謝罪をしましょう。
ゴキブリなど害虫の混入対応マニュアル
害虫の死骸が料理に混入していたり、器の裏から害虫が出てきたというクレームの対応は、異物混入クレームの中でも質の異なる難しさがあります。

害虫混入クレームは被害が大きい
・飲食店の基本である衛生管理が問われる。
・害虫混入に驚いた声や従業員へのクレームが、周りのお客様に伝わる。
・新しい料理は召し上がって頂けない。
・グループで来店の場合、全員が食事を中断し、退店される場合がある。
・お客様が被害をSNSにアップすると、反響が大きい。
責任者がすぐに伺い、確認する
混入した料理をアルバイトさんが下げていれば、まず害虫を確認します。まだお客様のテーブルにある場合はすぐに伺い、丁重にお詫びし、確認をします。
葉物野菜の洗浄不足になどよる害虫なら、その説明と謝罪をします。ゴキ〇リであれば、謝罪のみに徹します。
お客様のショックを考えると、本当に申し訳ない気持ちです。
「これ、ゴキ〇リだよね⁉」と確認を求めてくるお客様もおられます。言い訳せず、「はい。申し訳ございません」と、謝罪に徹さなくてはいけません。
近年は、すぐに料理を下げようとしても、「写真に撮らせろ!」というお客様もおられるようです。その場合は無理に下げる事はしない方が良いでしょう。
「大変失礼致しました、お下げ致します」と料理を下げ、改めてお席に伺い、謝罪します。
新しい料理は提供させてもらえない
料理を下げた後は、新しい料理を提供させて頂くかどうか伺います。
その時、「お客様はそのような気分ではないという事は十分理解している」というニュアンスを含めた雰囲気や言葉遣いで伺うことが重要です。
恐らくほとんどのお客様は「もういらない」「食べる気分じゃない」と席を立ちます。重ねてお詫びをし、玄関まで見送り、頭を下げます。
その店全体に衛生的な不信感を抱いてしまうのは当然よね。
新しい料理を出せる場合は、速やかな提供と、セット物ではその他の料理も全て新しい物にに変え、盛り付ける器も変える(全く違う皿にする)気配りをします。
食後を見計らい、責任者が改めて謝罪に伺い、デザートやコーヒーなどのサービスを申し出ます。複数人であれば人数分提供するのがベターです。
お会計は頂戴しない
新しい料理を提供したとしても、お代は頂きません。
中には「新しいものは完食したから」「飲食店には、害虫はいるものだから」とお支払い下さるお客様もおられますが、丁重にお断りしましょう。
せっかくのお食事を台無しにしてしまったのですから、当然です。
間違っても、次回割引券や、系列店で使えるクーポンなどを渡してはいけません。火に油で大激怒される恐れがあります。
グループで来店されていて、皆さんが途中で席を立たれた場合は、同じく全員分頂けません。返金する必要があれば、速やかにご返金します。
法外な要求への対応

異物混入は、ほぼ100%(お客様の勘違いもまれにある)店側に責任があります。そのため、出来る限りの謝罪と誠意ある対応をしなければなりません。
一方で、店側が悪いことにつけこんだモンスタークレーマーのような人もいます。過剰な要求に対しては、毅然と対応することが求められます。
対応できる範囲は、丁寧な謝罪と、代金の無償、お詫びのサービス(ドリンクやデザート、割引券など)まで。
その範囲を超えるような金品・物品の要求や土下座の強要などには応じてはいけません。
店長としてできる限りのことをしたら、後は本部へ。
「これ以上の対応ということであれば、私の判断では致しかねます。」
「申し訳ございませんが、後日、上司・会社と相談し、改めて対応させて頂きます。誠に申し訳ございません。」
「本日の不手際に関しましては、早急に会社本部にも報告致しまして、改めてご連絡差し上げます。」
などと伝え、その後上司に報告をします。
クレーム対応 店長の心得!
店長が率先して対応する。
アルバイトさんから「お客様が、髪の毛が入ってるぞ!ってお怒りです…」といわれたら、店長は決して面倒くさそうな、ダルそうな態度をしてはいけません。
「分かった、ありがとう。対応を代わります。どちらのお客様?」と言葉に出して、速やかにお客様の元に伺うような、‟クセ”を付けましょう。
一次対応者はお客様から直接かつ突然にクレームを受けています。非常に大きなストレスを受けているので、対応をしてくれたことに対する一言は必須です。
率先して対応することで「責任者が謝罪に来ない」「いつまでまたせるんだ!」という2次クレームを防ぐと同時に、アルバイトさんからの信頼を得ることができます。
店長が率先して対応することが1番重要!
NGな言動や態度を理解する
お客様の間違いを指摘しない
「このような長い髪の毛は従業員にはおりませんので、お客様の髪の毛ではないですか?」など、仮にその可能性が高くても、指摘してはいけません。
あくまで、謝罪に徹し、交換や代金返金を申し出るのがベターです。
‟謝ったら負け”ではなく、まずは、不快な思いをさせた事・不安に感じさせてしまった事に対する部分謝罪を心がけましょう。
間違いを指摘したくなる気持ちは分かるけど…だね。
横柄(に感じる)な態度をとらない
クレーム対応中の立ち振舞いは、お怒りのお客様からの印象を大きく左右します。
「本当は反省していない」「疑っているのではないか」という誤解を生み、2次的なクレームに繋がらないように、以下の項目に注意しましょう。
・姿勢
背筋を伸ばし、うつむかない。手は前で重ねる。片足に重心を乗せない。場合によってはかがみ、お客様よりも目線を下げ、キョロキョロしない。
・表情
神妙(申し訳ない)な表情で、眉間にシワを寄せない。適度に目を合わせる(見つめ過ぎない)。適切な相槌を打ちながら、相手の怒りに共感するという態度を示す。他、髪の毛や鼻を触らない。
これもデキる店長のスキルの1つです。知識として習得しよう。
アルバイトへの教育と接し方
クレームの1次対応者になる可能性が高いアルバイトには、クレーム対応の方法や心構えを教育しておく必要があります。
新人アルバイト
混入した料理を確認したら、素直に謝罪し、「少々お待ちくださいませ、責任者に伝えてまいります」と言って、速やかに先輩に伝え、指示を仰げる。
「私の話をろくに聞かずに逃げるように店長を呼びにいった」とならないよう、状況を確認する意味で、お客様の意見は一通り聞くように意識させましょう。
一次対応をしてくれた人には「嫌な思いをさせてしまってごめんね。早く報告してくれて助かったよ」など、フォローの一言を忘れずに!
中堅アルバイト
クレームを受けた際、適切な謝罪と、基本的な対応がとれるようなレベルです。
新しく作り直すかどうか、もし何かサービスをするなら何を出すのかなどが速やかに判断できるように、お客様の要望をくみ取るアンテナを養いましょう。
店長がいくつかの事例を説明し、対応のレパートリーを増やすことが必要です。
「全額返金したいけど、店長に怒られるかな」と躊躇することがないように、普段から店長の判断基準を共有しておくと共に、対応のミスを責めない事も大切です。
多くのケーススタディを学ぶことで、より適切な判断ができるんだね!
ベテランアルバイト
店長や責任者に準ずる判断ができる。代金をもらうかどうかの判断や、金属片や害虫混入の場合の適切な対応ができるレベルです。
中堅スタッフと同様に、ケーススタディでやるべき対応や謝罪の方法に触れることで、クレーム対応の引出しを増やすような教育が必要です。
引出しを増やすと同時に、やるべき対応は抜かりなくやる完璧さが求められます。
緊急時も焦らずに対応できる経験と、他のスタッフへの指示が出せる冷静さが必要です。
時間をとって、やり方を伝えたり、ロールプレイングをしてみよう。
再発防止策の立案
混入の原因を突き止め、対策を打ちます。
特に、金属片、ガラス片、輪ゴムやラップ片の混入には、場所やタイミングなど、明確な原因があります。調理場メンバーとよく話し合い、対策します。
髪の毛は、帽子・バンダナの着用の再徹底、髪をまとめる、出勤時にユニフォームにコロコロするなど。料理を運ぶ時の目視確認の再徹底も必要です。
飲食店で、害虫を0にするのは難しいです。器の保管場所か、食材自体か、提供後の客席なのか…。いずれにせよ、全体的な衛生管理の向上が必要です。
原因と対策は全体で共有し、再発防止に努めます
まとめ

飲食店で高頻度で発生する異物混入のクレームの対応マニュアルを紹介しました。
混入した異物によって対応が異なるので、お客様の話をよく聞き、状況を把握しながら対処しなくてはいけません。
店長だけでなく、アルバイトさんに「こういう時はこのように対処するように」という指針を示すことで、いざという時に役に立つはずです。
また、クレーム対応がひと段落したら、原因の究明と再発防止をしなくてはいけません。
クレーム発生時から解決までを時系列をまとめて共有しましょう。店長以外のメンバーも「こういうクレームが発生してしまった場合は、どういう対応するか」を理解する事ができます。
対応を勉強しておく事で、いざというときに焦らなくて済みそうね。
クレーム処理のスキルアップを目指すぞ!