客数アップのためには「回転率のアップ」と「稼働席数のアップ」の2つのアプローチがあるんですよね。
「回転率」は前回の記事で理解が深まったと思うから、この記事では「稼働率(席数)アップ」について見ていこうか。
そもそも稼働率って、自分達でコントロールできるんですか?
できないと思うの?
だって、何名様のグループが来るかは分からないですよね?常に4名テーブルには4名様を案内し続けるなんてできないし…出たとこ勝負というか、その日の運というか…
そんな消極的な事でどうするんじゃ!
部長!なんですか急に!
悪かったな、急に出てきて。
すっ、すみません。稼働率を意図的に上げる方法ってあるんですか?
回転率と同じで、稼働率も日々の取り組みで上げる事ができるよ。
毎日の積み重ねが大きな利益の差に繋がる事を強く意識するんじゃ。
稼働率を上げる方法を教えてください!
稼働率(満席率)とは
全てのテーブルが埋まっても、実際の客数は総席数の半分ってこと、よくあるんですよね。
稼働率は、実際の客数÷総席数で表されます。
飲食店で「満席」とは「案内可能なテーブルが埋まっている」という意味で、本当に全ての席が埋まっているわけではありません。ピークでテーブルが埋まった時、実際に稼働している席数を1つでも多くすることが稼働率を上げるという事です。
飲食店における稼働率(満席率)は60~70%といわれています。
恥ずかしながら、そもそも全てのテーブルが埋まる状態になる事が少ないので…
落ち込まないで。その視点も大切だ!
・「ピーク時、限られたテーブル数に対し、1人でも多くご案内するにはどうするか」
・「そもそもの空席を埋めるためにどうやってお客様を獲得するか」
という2つは、別問題です。同じ稼働率の問題でも取り組む課題は別ですよね。
ピーク時の満席率を上げる方法
1人でも多くご案内するスキル
稼働率・満席率を上げる取り組みを考える前に、注意すべき事があります。店によっては、詰め込むような案内をせず、ゆったりと座って頂く店もあります。満席率を上げようとして、逆にお客様の期待を裏切ることがあってはなりません。折角ご来店頂いたのに、不満・クレーム発生に繋がります。それぞれのお店の方針に応じて方法を検討しましょう。
・一番最初のお客様は人数に関わらず一番良いお席にご案内する。
「眺めがよい、夜景がきれい」など、人数に関わらず「あの席に座りたいのですが」というお客様もいるでしょう。その時は、予約で埋まっていない場合は、一番最初に来たお客様をその席にご案内しましょう。
そもそも、自分の店で‟一番いい席”は決まっていますか?2番目に良い席は?全員が最初に案内する良い席を共有しておきましょう。良い席・案内の仕方の基準は店長とアルバイトさんがよく話し合った上で決める事が理想です。
満席率を上げる事と反対の事かと思われますが、満席率ばかりにこだわってはいけない事をお伝えしたい!
テーブルの満席率に縛られて良い席を空けておいても、他の席が埋まってくるにつれて、結局、先に入ったグループと同じ人数なのに後から来たグループを良い席に案内してしまう事があります。これは、満席率を上げる以前にお客様の不信感に繋がります。「どうせ少人数だからあの席には通してもらえない」と思われてしまいます。‟良い席”が幾つかあるお店の、開店すぐの時間帯は席案内に注意しましょう。
・お席の移動をお願いする事を躊躇しない。
カウンターで、「あの人が右にひと席ずれてくれたら、3名様のグループを案内できるのに」という場面の時、移動のお願いは躊躇なく言いましょう。すぐにお願いできる勇気、度胸が大事です。お客様が自主的にずれてくれるのを待つのではなく、スピーディーに対応する事が肝心です。時間が経てば経つほど、待つ方も不満が募り、待たれる方も居心地が悪くなります。
テーブル席でも同様です。何組も長時間お待ち頂いているという状態が、一組のお客様の協力で一気に解決する場合は、まずは声をかけてみましょう。
移動をお願いする場合は次の事に注意しましょう。
・店の責任者がお願いをする(移動が当たり前だと思わず、低姿勢で)
・食事中の時は出来るだけ声掛けしない(料理によっては良い時もある)
・料理や荷物の移動はスタッフが行う。
・おしぼりやお茶・お冷、カスターセットなどを新しくお持ちする
・食事中に移動して頂いた時など、必要に応じて、つまみの一品や食後のコーヒーやデザートをサービスする。
・お会計時「本日はお席の移動を頂きまして、誠にありがとうございました」と改めて謝意を伝える。
・相席をお願いする
相席をお願いすることは、限られたテーブル数で客席稼働率を上げる事ができます。相席に対して、店側も、利用するお客様も抵抗なく受け入れている店も多く見受けられます。繰り返しになりますが、料理内容や客単価、雰囲気を良く判断したうえで可能な店であれば相席をお願いしましょう。
「混雑時は相席をお願いする事があります」というPOPがあっても良いでしょう。また、相席が当たり前だとしても、相席を了承してくれたお客様に「本日はご相席頂いてありがとうございました」と会計時に声掛けをしましょう。
ここまで記事を読んで、満席率を上げることより、回転率を上げる方を重視する方が良いのかなって思ってます…
回転率アップの取組みはどの店でもお客様満足に直結するけど、満席率アップの取組みは店によってはお客様の不満になるケースがありそうだね。
ピーク時の満席率を上げる取り組みは、お店の雰囲気やお客様の期待、提供している料理や客単価などとバランスを考える事が大変重要です。
お客様からのクレームや不満に繋がらないようにしましょう。
高単価でゆっくりしてもらうのが店の方針で、お客様もそれを期待している場合、提供スピードをあげる、バッシングや案内をスピーディーに行うなどの回転率を上げる戦略の方を重視しましょう。
稼働席数を上げる方法
①少人数用の席を増やす
店内の壁や空間で空いている場所に、カウンターや小さなテーブルを設置するだけで、稼働席数、満席率のどちらも上げる事ができます。1名様をカウンターに案内できると、テーブルに複数名のお客様を案内できます。店内のとある壁面に、2,3席分で構いません。カウンターでなくても、小さな2名テーブルを設置するだけでも効果的です。店の都合で納品物を置いているだけの場所や、柱で隠れたデッドスペースなど、活用できる所はないか、チェックしてみましょう。
チェーン店のお店では難しいかもしれんが、本当に効果が見込めそうならば、会社や上司に相談してみるのもありじゃ。
②店外に席を増やす
居酒屋の店先にある、ビールケースと板で作った簡易テーブルや、カフェのテラス席などのように、店の外にテーブルを設ける事で稼働席数を増やせます。ガーデンテーブルや、京都の川床、ビアガーデンなど、季節的に稼働させる、付加価値のある店外席もあります。敷地や道路の関係で設置するのが難しい店舗もあると思いますが、ちょっとしたベンチシートを置いて対応している店もあります。
店内が満席でも、追加で案内できる席があるのは武器になるね。
③デリバリーを始める
デリバリーは、店内が満席かどうかに関係なく獲得できる売上です。現在では、特にコロナ禍で躍進したウーバーイーツや出前館をはじめ、多くの媒体を活用する事ができます。
自前でデリバリー部門を立ち上げるか、上記の媒体を利用するか、それぞれメリットデメリットがあります。価格設定や告知・配達・支払いの方法の違いなど、デリバリーについて詳しくはこちらの記事を参考にして下さい。
デリバリー媒体の普及に伴って増えている、ゴーストレストランに挑戦するのもアリです。ゴーストレストランとは客席を持たずにデリバリーだけに対応している店舗の事です。店の厨房はそのままに、全く別の料理に挑戦する事が可能です。仕入れや調理オペレーションが異なるため、簡単に始める事はできませんが、異なる需要をデリバリーが取込むことで、店内の席数に関係なく更に売り上げを獲得する事ができます。有名なイタリアンのお店が、裏口をデリバリー受け渡し口に改装して、同じ店舗の厨房を利用してゴーストレストランの唐揚げ専門店も展開している例もあります。
客数=新規顧客+リピーター顧客へ続く
満席率を上げる、稼働席数を上げる方法でした。すぐに実行できるものから、会社や上司と相談するべき事まで色々あったね。
あにき店長…色々な方法は分かったのですが…
どうしたの?何か分からない事があるの?
「満席率を上げる!」「回転率を上げる!」という以前に、ひとピークで満席にならない事が多くて…そのぅ…
なるほど、そもそもの集客の部分だね。はじめ店長、客数を表現する数式は覚えている?
稼働席数×回転率ですよね‼ビシッ!
うん!正解!それはもう覚えたね。じゃあ、もう一つ、客数を表現する数式を教えよう!
えっ?もう一つ別の数式があるんですか?
それは、客数=新規顧客+リピーター顧客 という数式だ。
何ですかそれ!めっちゃ興味あります!教えてください!
でもこの記事がだいぶ長くなってしまったからね…次回にしよう!そちらの記事もぜひ見て行ってね!