新米店長売上UP塾

高い顧客満足を感じられる料理とは?料理のクオリティーを構成する10要素!

飲食店での客数アップには、リピーターを増やす事が一番効果的です。どうやったら昨日より、去年より1人でも多くのお客様に来てもらえるのかと悩む店長は多いはずです。

リピーターを獲得するためには、「顧客満足」を上げる事が重要です。顧客満足の向上とは、QSCといわれる各要素を、どれだけ、総合的に高める事ができるかの勝負です。

また、近年は「『顧客満足』から『顧客感動』へ」と言われ、より強い絆で結ばれるリピーターやファンを獲得する考え方として重要視されています。顧客感動を生み出すための要素である「H:ホスピタリティ」「V:付加価値」「B:ブランド」をどうやって提供していくかも、差別化を図る飲食店の課題となっています。QSCやH.V.Bの詳細を解説した記事はこちらです。

 この記事では、飲食店の現場で、Q:料理、S:サービス、C:清潔の中で、特にQ:料理の品質について詳しく見てゆきます飲食店にとって、料理のクオリティーは何よりも顧客満足に直結する肝心の部分です

 以下の記事で、当たり前のことから、高い顧客満足を獲得する物まで、料理のクオリティーを構成する10個の項目に沿って解説しています

 店長や調理責任者が、「まずは出来ていない事を整理しよう」と課題・問題点の把握するきっかけになり、「明日から、これを始めよう!」という行動に繋がる記事となっています。ぜひご参考下さい!

QSCを向上させて顧客満足に繋げよう!

料理のクオリティーを構成する10要素

あにき店長

基本レベルから顧客満足まで、色んな角度から見て行こう!

①食材

 例えば「高級食材」という基準はそれだけで料理の品質が担保されます。ブランド食材であれば、その食材を食べる事が来店目的になるので、集客効果も高くなります。

 ただ、高級でなくても、顧客満足に繋がる例もあります。「このお酒に合う魚・肉はこれ」という調理人の選別にこだわりを感じる食材地産地消や環境への配慮が感じられる食材なども、伝え方次第で十分顧客満足を得られる食材となります。

 また、「本来捨てる所なんだけど、こうすれば…」「ここの部位はこの味付けで…」といったように、高級でなくても調理人の技術と意外性で満足を感じさせる食材に変化させる事も可能です。

②量(ボリューム)

 量を増やすか、質を高めるかは相反するといわれます。客層や利用動機に合わせて、店の強みとなるのはどちらかを明確にする事が大切です。しかし、質にこだわる店であっても、ランチタイム、モーニングなどの時間帯に応じて多少ボリュームのある料理を用意したり、ボリューム重視のインパクトのあるメニューを数品だけでも用意するなどのバリエーションは意識したいところです。

 あっ!と驚くような量の刺身盛合わせや、ランチタイムはご飯と味噌汁がお替り自由、定食の小鉢が(競合店より)一品多いなど、料理や定食の量は、顧客満足を左右する大切な要素です。コメダ珈琲は「逆メニュー詐欺」などと言われてSNSで話題になるほど、フードメニューのほとんどが予想を裏切るボリュームで人気となっています。

③盛付け

 料理は目で楽しむと言われます。食欲だけでなく、心も満たすような盛付けがなされていれば、顧客満足は高まります食材が美しく見えるように配置する色味が単調であれば‟青み”を添えるなどのひと手間が見た目の満足感を大きく向上させます。

 大手チェーン店であっても、メニュー写真通りの量と盛付けが確実にされているかを確認する事が大切です。メニュー写真よりも‟ショボい”料理を提供してしまうと、クレームになるか、がっかりして二度と来店しないかのどちらかです。店長や調理責任者は、量と盛付けが、誰が調理をしたとしても、メニュー写真を下回っていないか、常に目を光らせなければなりません。

 また、見た目を彩るツールを活用するのも効果的です。お菓子・デザート・アジアンテイストな料理を華やかに飾る「エディブルフラワー(食用花)」や、懐石料理の演出として使われる「かいしき葉」など。余った野菜を「飾り切り(簡単なレベル)」として添える事もできます。経費が掛かりますが、効果的に華やかで季節感を感じる盛付けが可能です。

④鮮度

 食材の鮮度管理は、衛生面で1番気を遣うべき所です。賞味期限、消費期限はもちろん、仕掛品(仕込んだ食材や料理)の廃棄期限の管理の徹底は「安心安全・信頼」の部分で、顧客満足の土台です。まずは衛生管理の土台が揺らがないように、冷蔵庫内温度のチェックシートや検品検食が習慣づいているかなどを確認し、徹底しましょう

 それを踏まえた上で、新鮮な魚介類や野菜、フルーツを提供している店は、食材そのものの魅力を最大限に味わうことができるという意味で、顧客満足度が高くなります

 食材の鮮度管理は、日々の仕入れと深く関係します。在庫を多く抱えてしまえば、鮮度は落ち、食材の使える部分も減ってしまいます(歩留まりが悪くなる)。歩留まりが悪くなれば、同じ売上でも食材にかかる費用が増え、利益が減ります。前年や先週の曜日ごとの出品数のデータを元に仕入れ数を決める「売切れ御免」で完売させる接客スタッフやPOPを活用して「仕入れた分は必ず売切るおすすめトーク」の徹底など、鮮度の維持に努めましょう。

⑤料理の温度

 「ぬるい吸い物」「冷めたフリット」「溶けたデザート」「ぬるい生ビール」といった料理やドリンクが出てきたらどうでしょうか。満足度はかなり低くなり、クレームに繋がる恐れもあります。逆に一番おいしい温度で運ばれてきた料理の満足度は高くなります

 温度はキッチンだけの責任ではありません。出来たときはアツアツでも、接客が運ぶのが遅れて冷めてしまっては台無しです。特に大人数のコース料理などはホールスタッフと調理開始のタイミングを都度確認し、スピーディーに配膳を行う体制が必要です。料理の温度は店全体で一致団結して取り組まなければならないのです

 温度に対する意識が店全体で共有された上で、+αで温度の演出をすることで更に顧客満足度をあげている例もあります。熱い鉄板に乗せて「ジュ~ッ」という音を聞かせながら提供したり、目の前で蓋をあけてわざと湯気を見せるなど、視覚や聴覚に訴える演出です。他にも、目の前で釜めしを炊く、1人用の鍋と固形燃料を使って目の前で完成させるなど、「できたて感」を感じてもらうのも、温度にこだわった演出といえます。

⑥季節感

 季節を感じる食事は今も昔も人の心を満たす大切なイベントです

 旬の食材を扱っているかどうかは、顧客満足に大きく関わります。いつ行っても同じメニューしかないというのは、安定していると言える一方で、マンネリ・飽きに繋がることもあります。普段扱うメニューに季節感がなくても、「期間限定」「季節限定」で定期的に季節を感じる料理を提供している店は、通常のリピーターのマンネリ防止だけでなく、シーズンリピーターも獲得する事ができます。「今年もこのシーズンが来たね」と言って来店される人は、店に対して高い満足度を感じているお客様です。

 和食は四季の食材を取り入れた調理法や盛付けが比較的多いといわれていますが、中華やフレンチであっても、取り入れる事は可能です。いつものデザートに旬の果物を盛り付けてみる所から始めてみては。

 また、店内の飾りつけや特別感のあるPOPを作成するなどして、季節限定料理を盛り上げる雰囲気づくりも大切です。

⑦調理技術

 セントラルキッチン方式のレストランでは、現場での特別な調理技術が必要ないため、アルバイトへの一定の教育をすれば、誰でも安定したレベルの料理を提供する事ができます。

 一方で、三ツ星シェフ・ベテラン寿司職人といった人材がいる店では、丁寧な仕込み、温度管理、細かな調理技術など、大手チェーンのセントラルキッチンでは実現できない高い完成度の料理を提供する事が可能です

 食材の魅力を引き出す調理技術だけでなく、少しのひと手間を加える事で気配り・心配りを表現する事も、調理技術が無いとできません。子供のために小さくカット、高齢者に対して柔らかく調理、妊婦へのあっさりとした味付けの気遣いや、アレルギー対応などを柔軟にできるのも、調理技術があればこそ。そのようなちょっとした一手間の調理が、リピーターやファンを作るきっかけになるのです。

⑧ライブ感

 目の前で調理されるというライブ感を味わえると、料理に対する顧客満足は高まります。料理そのもののできてた感に加え、調理人の確かな技術を感じられる事ができ、付加価値が高まります。

 目の前で寿司を握ってくれる、天ぷらを揚げてくれる、肉を焼いてくれるという調理は演出効果もあって高い顧客満足を引き出します。他にも、そばを手打ちしているのを見せる、炭火で見事な焼き鳥に仕上げているのが見えるなど…、高級店でなくてもこだわりの技術や手間を感じられる料理は、高い顧客満足を得る事ができます

⑨スピード

 料理の完成までのスピードも、料理に対する満足度に大きく関わります。ランチタイムでは7分、ファミレスでは15分、一般的な飲食店では20分が待てる時間のデッドラインと言われています。もちろん、料理の内容や単価、利用動機によってデッドラインは前後します。牛丼チェーン店の調査では7割のお客様が3分を超えると「遅いな」とイライラが始まると言われています。

 せっかくの料理も、提供時間が遅いとクレームが発生します。また、早く提供する事は、料理の満足度を向上させるだけでなく、店内の回転率にも影響します。待ち時間が長くなると、結果として回転率が悪くなり、客数ダウン、売上ダウンに繋がります。回転率向上、提供スピード向上は、こちらの記事をご参考下さい。

⑩価格

 安ければ良いというものではありませんが、料理内容と価格のバランスがとれていないと、お客様は不満足を感じますバランスがとれていて「顧客満足」、お得や感動を感じられて「顧客感動」へと繋がりますその点において、価格は顧客満足を決定する重要な項目です

 近年はコスパ重視などと言われ、低価格競争を強いられる飲食店も多くなっています。「この量質でこの価格はお得だ」と感じられれば、リピーターになる可能性が高まります一方で、顧客側にも、良い品質の料理や、手間ひまがかかる料理は、それに見合った価格を支払うのが当然だという風潮も芽生え始めています

 高過ぎず、安過ぎず、質、量や品数とのバランス、それでいて少し「お得」を感じられるような料理内容、加えて周辺のライバル店との比較、接客サービスや立地などの料理以外の付加価値を考慮する、なども価格を決める要素です。 

まとめ

 この記事では、リピーターを獲得するための顧客満足を上げる方法であるQSCの向上に着目し、特にQ:料理のクオリティーに焦点をあて、「料理のクオリティーを構成する10要素」を紹介しました。なにも高級な食材、ハイレベルな技術だけがクオリティーの高い料理と言われているのではありません。

 料理について、ライバル店と比べて何が足りないのか、どうすればもっと魅力ある料理で顧客満足度を上げる事ができるのか、是非楽しみながら考えてみて下さい

また、チェーン店の店長や調理担当者であっても、料理に対してもう一度向き合い、問題を発見し、課題を立てて改善すれば、必ずリピーター・常連様が増えるはずです。是非その取り組んだ結果を上司や会社に報告して下さい。

 問題の発見のやり方、課題の立て方、目標を立てた後、対策を打ち、結果を検証する、など、具体的に向上させる一連の流れをまとめた記事はこちらです。ぜひ参考にして下さい!